✍ 古家あきら | 2026-08-03 更新
会社の事業内容を無料で調べる方法 — gBizINFOと国税庁と、しょくばログの合わせ技
「取引先の会社、結局どんな事業をやってる会社なんだろう?」——会社名だけでは何屋か分からないケースはよくあります。
先に結論から。会社の事業内容は①gBizINFOの「事業概要」欄②公式サイトの「事業内容」ページ③求人票の「事業内容」欄④登記簿の「目的」欄で確認できます。ただし④の登記の目的欄は"将来やるかもしれない事業"まで書かれているため実態と乖離することが多く、他の3ルートで裏取りが必要です。
しょくばログという会社データベースを運営していると、この「事業内容が分からない会社」の問い合わせは毎日きます。特に「〇〇株式会社」「〇〇ホールディングス」「〇〇コーポレーション」のような社名だと何屋か推測不可能なので、複数ルートで調べる必要があります。
前提:事業内容は複数のソースで異なる
会社の事業内容は、見るソースによって書かれ方が違うため、複数ソースを見て突き合わせる必要があります。
- 登記の目的欄:法律的に何をやってもいい事業の一覧(将来含む)
- gBizINFO:公的な届出情報(比較的正確・厳選)
- 公式サイト:会社が対外的に打ち出したい事業(マーケ寄り)
- 求人票:今伸ばしたい事業・採用したい職種(実務寄り)
この4つを見比べると、「登記上何ができるか」「公的にどう届けているか」「対外的にどう見せたいか」「今何に注力しているか」の4方向が分かります。
調べ方①:gBizINFO(1分・無料・信頼度高)
経済産業省の法人情報データベース https://info.gbiz.go.jp/ で、会社名 or 法人番号で検索。「事業概要」欄が入っている会社があります。
- 入っている割合:全体の3〜5%(うちの体感)
- 数字の元:会社が行政に届出した情報 or 公表資料から抽出
- 正確度:高い(公的な届出情報が元)
「〇〇の製造販売」「〇〇サービスの提供」など、実際に営業している事業が具体的に書かれています。gBizで事業概要が取れれば、これが最も信頼できる情報源。
調べ方②:公式サイトの「事業内容」ページ(2分・無料)
会社の公式サイトの「事業内容」「Business」「Services」「What we do」ページを見る。
- 中堅以上の会社なら大半が記載(詳細な事業説明あり)
- 中小・スタートアップは記載が薄いことも(「〇〇サービスを提供しています」の一行だけとか)
見るポイント:
- 主要顧客層は誰か:B2B/B2C、業界、企業規模
- 主要製品・サービスは何か:具体的な製品名・サービス名
- どこで収益を得ているか:売上構成、主要事業比率(IR資料に載っていることもある)
公式サイトは"見せたい姿"に寄っているので、実態と乖離することも。求人票と組み合わせて実態を推測。
調べ方③:求人票の「事業内容」欄(1分・無料)
ハローワーク求人票やIndeed求人には「事業内容」欄があります。採用している職種と組み合わせて見ると、今何を伸ばしたい会社かが見えます。
- 会社概要では「総合商社」と名乗っていて、求人が施工管理ばかり → 実態は建設寄り
- 「ITサービス」と名乗って、求人がテレアポばかり → 実態はテレアポ営業代行
求人票の職種は"今の実務"を示すので、事業内容の実態把握には最も有効。ハローワーク求人票の見方はハローワーク求人票の見方を参照。
調べ方④:登記簿の「目的」欄(3分・有料・約332円)
登記情報提供サービス(https://www1.touki.or.jp/ )で登記簿謄本をオンライン取得。約332円で、登記の「目的」欄が確認可能。
ただし目的欄には注意点があります:
- 将来やるかもしれない事業まで大量に書いてあるのが普通
- 「不動産の売買、賃貸、管理」「飲食店の経営」「前各号に附帯する一切の事業」……と10項目以上並ぶ
- 実際に稼働しているのは1〜2項目だけというのが日本の会社の実態
目的欄=実際の事業ではない、あくまで「法的に何ができるか」の一覧、と覚えておいてください。
業種と事業内容の違い
「業種」と「事業内容」は混同されがちですが、粒度が違います。
- 業種:日本標準産業分類(JSIC)のA〜T大分類など、公的な分類
- 事業内容:会社が実際にやっている具体的なビジネス
業種は"箱"、事業内容は"中身"。「業種:IT・通信(G)」の会社でも、事業内容は「システム開発受託」「SaaS提供」「ITコンサル」「Webサイト制作」など多岐にわたります。
業種の調べ方は会社の業種を調べる方法を参照。
しょくばログを運営して分かった、いちばん正直な話
うちは全国 4,988,967社 を扱っていて、事業内容の説明が入っている会社は約22,000社(0.4%)にとどまります。残り99%以上は"事業内容は不明"——つまり日本の会社の大半は、外部から事業内容を確認できないのが現実。
なぜか。事業内容は国税庁の法人番号公表サイトに含まれず、gBizINFOも網羅していないからです。公式サイトを持たない中小は、事業内容の情報がゼロ。「日本の全会社の事業内容リスト」は存在しないのが実態。
もう一つ気づいたこと:会社名から事業を推測できる会社と、できない会社が半々くらい。「〇〇建設」「〇〇食品」「〇〇印刷」なら推測可能、「〇〇株式会社」「〇〇ホールディングス」だと完全に不明。うちのDBでは、社名から機械的に業種を推測するロジックを組んでいますが、社名から手がかりが無い会社は推定不能で「分類不能」として扱っています。
よくある質問
「持株会社」「ホールディングス」の事業内容はどう調べる?
持株会社の主な業務は子会社の管理・投資なので、事業内容としては「子会社の株式所有と経営管理」が正解。実際の事業は子会社が行っているので、子会社リストを見て、そこの事業内容を追うのが実務的。上場企業なら有価証券報告書に子会社リストが載っています。
「多角経営」の会社の主要事業を知りたい
売上構成比率を見るのが正解。上場企業なら有価証券報告書の「セグメント情報」で、どの事業がどれだけの売上を占めているか分かります。非上場の場合は帝国データバンク・東京商工リサーチなどの信用調査(有料)。
事業内容と業種が矛盾している会社は?
登記の目的(=業種)と現在の事業が乖離することはよくあります。例:飲食店として設立→現在はECのみ運営、など。実態を知りたければ求人票と公式サイトを見る、業種の看板は"歴史"として捉える。
事業内容が全く公開されていない会社は?
それ自体が実態薄い or 個人事業に近いサインの可能性があります。他の情報(従業員数・住所・電話・活動履歴)と合わせて、幽霊会社の見分け方を参照。ただし個人商店や零細事業者が公式サイトを持たないのは普通なので、業種・規模を考慮して判断。
求人票と公式サイトで事業内容が違う場合は?
求人票が"今の実務"、公式サイトが"打ち出したい姿"として読み分ける。両方見れば、会社の"公式ストーリー"と"実務"のギャップが見えます。面接で「求人と公式サイトの事業内容の違いはどう理解すればいいですか」と聞くのは、企業研究としてむしろ好印象。
まとめ
会社の事業内容は、①gBizINFO → ②公式サイト → ③求人票 → ④登記の目的欄の4ルートで調べられます。登記の目的欄は"将来含む"の網羅リストなので実態とズレる——実際の事業は①〜③で確認。
日本の会社の99%以上は事業内容の公的データが無い(うちのDBカバー率0.4%)が現実。公式サイトが無い中小は、事業内容の情報がゼロに近い。社名だけで判断せず、複数ソースで裏取りが実務的。
業種は"箱"、事業内容は"中身"。業種が同じでも事業内容は多様——ITと言っても受託開発・SaaS・コンサル・広告代理店で全然違う会社になります。
関連する記事:会社の業種を調べる方法、会社の規模を調べる方法、会社が実在するか確認する方法、取引先の与信を調べる方法、ハローワーク求人票の見方。
※本記事は一般的な情報です。取引・与信の判断は複数のソースで裏取りしてください。