✍ 古家あきら | 2026-08-27 更新

会社が上場しているか確認する方法 — 「株式会社」でも約650社に1社しか上場していない

先に結論です。会社が上場しているかどうかは、東証上場会社情報サービスで社名を入れれば、無料・登録なしで数十秒で判定できます。もっと速いのは「その会社に証券コード(4桁の数字)があるか」を見ることで、コードが無ければ東証には上場していません。

そしてもうひとつ、先に言っておきたいことがあります。上場していないのは、まったく普通のことです。しょくばログという全国の会社データベースを運営していると、「株式会社と書いてあるのに上場企業として出てこない」という趣旨の問い合わせをときどきいただきます。でもうちのDBで数えると、活動中の法人4,988,967社のうち株式会社は2,513,316社(2026年8月27日時点の集計)。一方、東京証券取引所の上場会社数は3,895社(2026年8月26日時点、日本取引所グループ公表)です。

割り算すると、株式会社およそ650社に1社。率にして約0.15%です。「株式会社なのに上場していない」のではなく、「株式会社のほとんどは上場していない」が実態です。

最短ルートは「証券コードがあるか」

上場会社には必ず銘柄コード(証券コード)が振られます。以前は4桁の数字だけでしたが、近年に付番されるものには英字が混ざることもあります。いずれにしても、会社の公式サイトのIRページや会社概要に「証券コード」「銘柄コード」の記載があるかどうかが、いちばん手っ取り早い判定材料です。

公式に確認する3つのルート

ルート1:東証上場会社情報サービス(いちばん確実)

日本取引所グループが運営する東証上場会社情報サービスでは、東証に上場している会社の基本情報・適時開示情報・コーポレートガバナンス情報を引けます。掲載情報は毎日午前1時ごろに更新されると案内されています。ここで社名を引いて出てこなければ、東証には上場していないと考えて構いません。

ルート2:東証上場銘柄一覧(一覧で確認したいとき)

「1社ずつではなく、まとめて確認したい」「取引先リストを一括で照合したい」なら、JPXの東証上場銘柄一覧からExcelファイルをダウンロードするのが速いです。銘柄コード・銘柄名・市場区分・33業種区分が入った一覧で、直近月末時点のものが公開されています。営業リストや与信管理で「上場か非上場か」のフラグを立てたいときは、これが一番実務的です。

ルート3:EDINET(有価証券報告書から見る)

金融庁のEDINETは、有価証券報告書などの開示書類を検索できるシステムです。ここで社名を引いて有価証券報告書が出てくれば、その会社は少なくとも開示義務のある会社です。

ただしEDINETに出てくる=上場、ではありません。ここは誤解が多いところなので、章を分けて書きます。

「非上場なのに有価証券報告書を出している会社」が1,100社以上ある

EDINETは提出者の一覧(EDINETコードリスト)を公開していて、そこには各社が「上場」か「非上場」かの区分が入っています。2026年8月27日時点でダウンロードしたリストを集計すると、こうなりました。

つまり、非上場なのにEDINETに書類を出している内国法人が1,102社あるということです。株主数が一定以上いる会社、過去に公募で資金調達した会社、社債を発行している会社などがここに入ります。「有価証券報告書が見つかったから上場企業だ」と判断すると、この1,102社で間違えます。

逆の間違いもあります。後述するTOKYO PRO Market上場の会社は有価証券報告書の提出が必須ではないため、上場しているのにEDINETで有報が出てこないケースがあります。EDINETは「開示書類があるか」を見るための場所であって、上場判定の第一選択ではない、という整理が正確です。

東証だけが取引所ではない(名証・札証・福証)

日本の証券取引所は東証だけではありません。名古屋・札幌・福岡にも取引所があり、東証には上場せずそちらだけに上場している会社(単独上場)が存在します。地元では有名なのに東証の検索で出てこない、という場合はこちらを疑ってください。

いずれも各取引所の公式サイトに上場会社一覧があります。東証で見つからなかったら、この3つを順に当たるのが確実です。

TOKYO PRO Marketという例外を知っておく

東証の上場会社数3,895社のうち、187社はTOKYO PRO Marketです(2026年8月26日時点)。この市場は他の3市場(プライム・スタンダード・グロース)とは性格がかなり違うので、分けて理解しておく価値があります。

JPXのTOKYO PRO Market概要に書かれている特徴を整理すると、こうです。

要するに、「東証上場企業です」という表現は制度上は正しいけれど、プライム上場企業と同じ意味ではないということです。求人票や営業資料で「東証上場」とだけ書かれていたら、市場区分まで確認する。それだけで理解の解像度がかなり変わります。念のため書いておくと、TOKYO PRO Marketが劣った市場という話ではありません。開示や審査の設計が「プロ投資家向け」に振ってあるだけで、性格が違うのです。

市場区分ごとの内訳は次のとおりでした(2026年8月26日時点、カッコ内は外国会社で内数)。

しょくばログのDBで突き合わせて分かったこと

ここからが、うちのDBを持っていないと書けない部分です。

EDINETコードリストには提出者法人番号が入っています。そこで、「上場」区分かつ内国法人で法人番号が入っている3,816社を、しょくばログのDB(国税庁の法人番号公表データが元)と法人番号で突き合わせました。結果、3,814社が一致(99.9%)。残り2社はDB側で見つからず、これは法人番号の変更や統合の反映タイミングによるものと考えられます。

一致した3,814社の内訳を見ると、まず3,813社が株式会社でした。上場している法人は、事実上すべて株式会社です。合同会社や有限会社は制度上ここに来ません(法人の種類ごとの違いは法人の種類一覧にまとめています)。

そして本店所在地の分布が、思っていた以上に極端でした。

上場企業の半分以上が東京都に本店を置いている。全法人では23.0%ですから、東京への集中度が2倍以上です。面白いのは神奈川県で、法人数のシェア(6.5%)より上場企業のシェア(4.3%)のほうが低い。東京に隣接する県は、会社の数は多くても本社機能の集積という点では東京に吸われている、という読み方ができます。

もっと絞ると、集中はさらに露骨です。

この3区だけで1,165社。上場企業全体の30.5%が、東京の3つの区に本店を置いています。ちなみにうちのDBでは、東京都で活動中の法人数がいちばん多い区は港区(135,184社)ですが、2位は渋谷区(96,163社)で、千代田区は4位(82,505社)です。法人が多い区と、上場企業が多い区は一致しません。千代田区は法人数では4位なのに上場企業では2位、という具合です。

一方で、47都道府県すべてに上場企業が1社以上あります。最も少ないのは秋田県と長崎県の各2社、次いで青森県と島根県の各3社でした。「地方には上場企業がない」は正確ではなく、「極端に少ないが、ゼロの県はない」が正しい表現になります。

ひとつ注意点を書いておきます。この集計は登記上の本店所在地ベースです。実際の本社機能が東京にあっても登記上の本店は創業地のまま、という会社はありますし、逆に持株会社化のタイミングで本店だけ東京に移した会社もあります。「本店=本社機能の場所」ではないことは、会社の住所を調べる方法にも書いたとおりです。

資本金が大きい=上場、ではない

EDINETコードリストには資本金も入っているので、上場している内国法人3,817社の資本金も見てみました。

資本金1億円以下の上場企業が416社ある、というのがここでの発見です。資本金1億円以下は税法上の中小企業の扱いを分ける線としてよく使われますが、その線の下にいる上場企業が1割強あるわけです。

つまり、資本金の大きさから上場・非上場は判定できません。逆方向も同じで、資本金が数十億円あっても非上場の会社は山ほどあります。資本金という数字の性質については会社の資本金を無料で調べる方法に、会社の規模を測るときの指標の使い分けは会社の規模を調べる方法に書きました。

業種の偏りも見ておくと、東証33業種区分では情報・通信業617社、サービス業564社、小売業322社、卸売業303社、電気機器230社の順でした(EDINETの提出者業種、対象3,817社)。

よくある3つの誤解

「上場企業のグループ会社」は上場企業ではない

求人票や会社概要で頻出するのが「東証プライム上場◯◯グループ」「上場企業の子会社」という書き方です。これは親会社が上場しているという意味であって、応募先の会社が上場しているわけではありません

グループの信用力や制度がある程度共有されているのは事実ですが、決算は連結の中に埋もれるので、その子会社単体の数字は外から見えません。親会社の有価証券報告書に主要な子会社として名前が載っていれば多少は追えますが、それも限定的です。業界内での位置づけをどう測るかは会社の業界順位を調べる方法にまとめています。

「上場している=安全」ではない

上場は継続的な開示義務と一定の基準を課す仕組みであって、経営の安全を保証するものではありません。上場後に業績が悪化して監理銘柄・整理銘柄に指定され、上場廃止になる会社は毎年あります。

上場企業について本当に価値があるのは「上場している」という事実そのものではなく、上場企業は決算を開示している=数字を自分で確かめられるという点のほうです。売上高や利益をどう追うかは会社の売上高を調べる方法に、上場企業の平均年収と非上場企業の給与をどう比べるかは上場企業の平均年収の見方にまとめています。

「上場していない=情報が取れない」ではない

非上場でも取れる情報はかなりあります。法人番号・登記上の商号と本店・設立年月日は国税庁の公表データから誰でも引けますし(法人番号の調べ方)、許認可・入札実績・求人の出し方など、公的な足あとは意外に多い。取引前の与信という文脈なら、取引先の信用を調べる3つの層に整理した順番で当たるのが現実的です。

目的別・どこまで確認すればいいか

上場かどうかを調べる動機は、だいたい3つに分かれます。

よくある質問

「東証プライム上場企業のグループ会社」と求人票にあります。この会社も上場企業ですか?

いいえ、その会社自体は非上場です。上場しているのは親会社(またはグループの持株会社)で、応募先の会社に証券コードは付いていません。確認するなら、求人票に書かれた親会社名を東証上場会社情報サービスで引いて、その有価証券報告書の関係会社に応募先の社名があるかを見るのが確実です。

会社四季報やIR情報が見つかりません。上場していないということですか?

ほぼそう考えて構いませんが、公式の検索で裏を取ってください。東証上場会社情報サービスで出てこない場合でも、名古屋・札幌・福岡の各取引所に単独上場している可能性が残ります。3つとも当たって出てこなければ、非上場です。

TOKYO PRO Market上場の会社は「上場企業」と名乗っていいのですか?

制度上は東京証券取引所に上場しているので、その表現自体は正しいものです。ただし上場基準に形式基準(数値基準)がなく、四半期開示や内部統制報告書も任意という設計なので、プライム・スタンダード・グロースの上場会社とは開示の量が違います。「東証上場」とだけ書かれていたら市場区分を確認する、という一手間をかける価値はあります。

昔は上場していたはずの会社が、検索しても出てきません。

上場廃止になっているか、合併・持株会社化で商号が変わっているかのどちらかが多いです。MBOで非公開化した会社、親会社に完全子会社化された会社もこのパターンに入ります。法人番号は商号が変わっても変わらないので、旧社名で見つからないときは法人番号から追うのが確実です。社名で引っかからないときの詰まり方は会社名で検索しても出てこない理由と対処法に整理しました。

「上場準備中」と書いてある会社はどう見ればいいですか?

上場申請の事実は、取引所が承認して公表するまで外部からは確認できません。したがって「上場準備中」は現時点では会社の自己申告であり、外から検証する手段は基本的にありません。実際に承認されればJPXの新規上場のページに掲載されるので、そこに出るまでは確定情報ではない、という前提で受け止めるのが安全です。

上場していない会社は、上場企業より危ないのですか?

いいえ。日本の株式会社2,513,316社のうち、東証に上場しているのは3,895社、およそ650社に1社です。非上場は例外ではなく標準です。上場・非上場は「継続的な開示の義務があるかどうか」の違いであって、経営の健全性の違いではありません。非上場の会社を評価するときは、上場かどうかではなく、まず会社が実在するか・倒産していないかを確かめ、そのうえで事業の中身や取引実績を見る、という順番になります。

この記事の数字について

上場会社数と市場区分別の内訳は日本取引所グループ「上場会社数・上場株式数」(2026年8月26日時点)、TOKYO PRO Marketの制度概要はJPX「TOKYO PRO Market 概要」、上場・非上場の区分と資本金・法人番号は金融庁EDINETのEDINETコードリスト(2026年8月27日取得)によります。法人数・都道府県分布・区別の集計は、しょくばログのデータベース(国税庁法人番号公表データを元にした2026年8月27日時点の集計)です。

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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