✍ 古家あきら | 2026-08-03 更新
会社の住所を調べる方法 — 本店・現住所・移転履歴の追い方
「この会社の住所、公式サイトと登記で違う気がする」——取引の初動や採用の面接会場確認でよくつまずくポイントです。
先に結論から。会社の"住所"には3種類ある:①登記上の本店所在地(法律的な会社の住所)②実際の営業所(郵便が届く場所)③代表者の住所。それぞれ調べ方が違います。 本店は無料で即分かる、営業所は公式サイト、移転履歴は登記簿(有料)。
しょくばログという会社データベースを運営していると、この住所の食い違いは日常茶飯事で、「登記だけ都心の一等地でバーチャルオフィス、実際の営業所は郊外」も普通にあります。今日はその実態も含めて書きます。
前提:会社の"住所"は3つに分かれる
まずここを整理しないと話がかみ合いません。
①本店所在地(登記上の会社の住所)
法律的にその会社が「ここにある」と登記されている住所。株主総会の招集通知や税務書類の届出先はここ。一部の会社では実際の営業実態は無く、登記だけしている場合も多い(バーチャルオフィスや司法書士事務所を本店にしているケース)。
②実際の営業所・支店(郵便が届く現場)
実際の業務が行われている場所。本社機能・支店・営業所・工場など複数あることも多い。会社の公式サイトで「アクセス」「拠点」ページに載っているのが基本これ。
③代表者の住所
登記簿に記載される、代表取締役個人の住所。個人情報保護の観点でモザイクをかける動きが進んでおり、2022年9月以降、代表者住所の非公開化が可能になっている(要申請)。
「会社の住所」という質問は、実務ではどれのことか毎回確認が要る、というのが実態です。
調べ方①:本店所在地(30秒・無料)
国税庁の法人番号公表サイト(https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/)で会社名を検索。「所在地」欄に出るのが本店所在地です。
法人番号公表サイトの情報は、法務局の登記情報と連携しているので、登記上の本店と一致します。ここで見える住所と、公式サイトの「本社」の住所が違うなら、登記上の本店だけ別で残しているか、移転登記をまだ済ませていないかのどちらか。
しょくばログの各社ページでも、本店所在地をまず表示しています。会社の実在確認は会社が実在するか確認する方法を参照。
調べ方②:実際の営業所(1〜3分・無料)
公式サイトの「会社概要」「アクセス」「拠点一覧」ページを見る。本社機能が本店所在地とは別の場所にあることは多い——特に東京・大阪などの大都市に本店を置いて、実質的な運営は地方の生産拠点で行う会社(メーカーに多い)。
支店・営業所一覧が公式サイトに無い場合は、gBizINFOで見られることがあります(gBizは事業所情報を保持している会社があり)。それでも出ない場合は、Google Maps で「会社名 + 業種」で検索すると営業所らしい場所が出てくることも。
調べ方③:移転履歴(3分・有料・約332円)
過去の本店所在地の履歴を知りたい場合は、登記情報提供サービス(https://www1.touki.or.jp/ )で登記簿謄本を取得。約332円。
- 会社が過去何回、どこからどこへ移転したか
- 移転日と旧住所
繰り返し移転している会社は要注意:業績不振で家賃の安い場所へ縮小移転、地方移転、あるいは追跡を撒くための"住所ロンダリング"の可能性も。
移転履歴に加えて、現在の本店所在地の登記完了日を見ると、「その住所にいつから居るか」も分かります。設立から一度も移転していない中小は、地に足がついた事業の可能性が高い。
"本店だけの住所"を見抜くコツ — バーチャルオフィスの特徴
登記上の本店所在地が実態の無いバーチャルオフィスであるパターンは、以下の特徴があります。
- 一等地の住所:丸の内・銀座・港区・虎ノ門・渋谷の高層ビル名 + フロア + 部屋番号
- 同じ住所に大量の会社:法人番号公表サイトで住所検索すると、同じビルに数百社が登記されている
- 公式サイトの「アクセス」と登記の住所が違う:実際の営業所は別にある
バーチャルオフィス自体は違法ではなく、スタートアップや個人事業主の法人化で普通に使われる手段です。ただし取引や採用の判断で「実態」を見たいなら、公式サイトの営業所を必ず確認。
うちのDBで住所検索すると、丸の内・銀座・港区の特定ビルに100社以上並ぶ光景が普通に出ます。これは日本の商慣行として定着している構造。
しょくばログを運営して分かった、いちばん正直な話
うちは全国 4,988,967社 の本店所在地を持っています。日本の会社のうち登記から本店を移転している会社は、体感で年数%程度——大半は設立時の住所のまま。
一方で、バーチャルオフィス系の住所に登記が集中している現象は明確に見えます。丸の内2丁目・銀座8丁目・港区南青山あたりのビルは、同じ住所に100〜500社の登記が並ぶことも。これは自動的に「怪しい」ではなく、そういう業態を選んでいる会社群として認識しておくのが正しい。
もう一つ気づいたこと:「移転履歴」の情報を持っているサービスは意外と少ない。無料のgBizINFOでも現本店だけで履歴は出ない。過去の住所を追える公的サービスは、登記情報提供サービス(有料)だけが実質的な選択肢です。
よくある質問
住所が「〇〇ビル504号室」まで登記されている場合と、ビル名だけの場合の違いは?
部屋番号まで登記されている=実質そこで営業している可能性が高い、ビル名までしか登記されていない=バーチャルオフィスの共通住所で法人登記していることが多い、という傾向があります。断定はできませんが、判断材料に使えます。
支店・営業所も登記されるのですか?
支店は登記が可能ですが、義務ではないので登記していない支店は多い。営業所は登記対象外。だから公的DBで「支店・営業所一覧」が完全に見える会社は少なく、公式サイトが実質的な唯一の情報源。
移転前の住所に届いた郵便物を追跡したい
転送手続きが1年以内なら郵便局の転送サービスで届きます。それ以降は差出人に戻る扱い。契約書類などで旧住所しか手元にない場合は、まず登記情報提供サービスで現住所を取得してから再送するのが確実。
代表者の住所非公開化はいつから可能?
2022年9月から、DV被害等のやむを得ない事由がある場合に代表者住所の非公開申請が可能になっています。通常の会社では非公開になっていることは稀ですが、今後は増える可能性があります。
「本店移転」と「支店設置」は何が違いますか?
本店移転=会社の登記上の本店住所を変更すること(費用:管轄内3万円・管轄外6万円 + 手続き)。支店設置=新たに支店を登記すること(費用:9万円)。実務では、営業所の追加なら登記不要で運用することが多い。
まとめ
会社の"住所"は、①本店(法人番号公表サイトで無料・即時)②実際の営業所(公式サイト)③移転履歴(登記簿・332円)の3層で追う。それぞれ意味が違うので、目的に応じて使い分けるのが実務的。
本店住所が一等地・バーチャルオフィス、実際の営業所は郊外、というパターンは日本で定着した業態なので、単独では「怪しさ」の指標にならない。取引や採用の判断では、必ず公式サイトの実際の営業所を確認する。
移転履歴を追える無料サービスは実質存在しない(登記情報提供サービス一択)。頻繁な移転は要注意サインだが、これも単独ではなくニュース・業績・代表者変更などと組み合わせて総合判断。
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※本記事は一般的な情報です。個別の企業評価は複数のソースで裏取りしてください。