✍ 古家あきら | 2026-08-26 更新

派遣会社・人材紹介会社の許可番号を確認する方法 — 「派13-」「13-ユ-」の読み方

先に結論です。派遣会社・人材紹介会社に許可があるかどうかは、厚生労働省の人材サービス総合サイトで、無料・会員登録なしで確認できます。しかも許可番号がわからなくても、会社名の一部だけで引けます。建設業や古物商のように「業種ごとに窓口がバラバラ」ということがない、めずらしく親切な分野です。

しょくばログという全国の会社データベースを運営していると、「この会社は何屋なのか」を社名から判断するのがいかに危ないかを日々思い知らされます。実際、うちのDBで活動中の法人4,988,967社のうち、社名に「派遣」の2文字が入っている法人はたった87社でした(2026年8月26日時点の集計)。一方、厚生労働省の統計では派遣元事業所は4万所を超えています。つまり社名を見ても、そこが派遣会社かどうかはほぼ分からない。だから番号で確認するしかないわけです。

許可番号は「派」と「ユ」の2種類さえ覚えれば足りる

派遣と人材紹介は法律が別(労働者派遣法と職業安定法)なので、番号の形も別です。ただ、どちらも「都道府県2桁+種類の記号+事業主ごとの6桁」という同じ骨格でできています。

労働者派遣事業の許可番号(「派13-」型)

厚生労働省の労働者派遣事業関係業務取扱要領には、番号の作り方がそのまま書かれています。

要領に載っている具体例は「派01-500037」で、これは北海道の事業主という意味になります。よく見る「派13-」なら東京都です。

ここで実務的に大事なのが2点。ひとつは、許可番号は事業主ごとに1つで、住所変更などで管轄の労働局が変わる場合を除いて変わらないこと。社名を変えても番号は同じです(このあたりは法人番号が商号変更で変わらないのと似た発想ですね)。もうひとつは、古い契約書に残っている「般13-」も同じ会社を指すということ。2015年(平成27年)の法改正で一般労働者派遣事業と特定労働者派遣事業が許可制に一本化された際、「般」が「派」に切り替わりましたが、番号そのものは変更されていません。

なお許可番号の後ろに3桁の「事業所枝番号」が付くことがあります。主たる事務所が「001」で、以下、支店ごとに振られたものです。

職業紹介事業の許可番号(「13-ユ-」型)

こちらは職業紹介事業の業務運営要領に定義があります。並び順が派遣と逆で、都道府県番号が先頭に来ます。

転職エージェントや人材紹介会社が名刺やサイトの隅に書いている番号は、ほぼこの「○○-ユ-○○○○○○」です。

有効期間は「新規3年→更新後5年」

意外と知られていないのが、許可には期限があるということ。労働者派遣事業は新規の許可が3年、一度更新すると以後5年ごと(労働者派遣法第10条)。有料職業紹介事業も新規3年・更新後5年(職業安定法第32条の6)で同じです。無料職業紹介事業だけは新規・更新とも5年(同法第33条)と扱いが違います。

つまり「許可番号が書いてある」ことと「今も有効である」ことは別の話です。名刺やパンフレットの番号を鵜呑みにせず、次の方法で現況を引くのが正解になります。

確認は「人材サービス総合サイト」1つで終わる

人材サービス総合サイトは厚生労働省職業安定局が運営していて、労働者派遣事業・職業紹介事業・特定募集情報等提供事業の3つをまとめて検索できます。

労働者派遣事業所の検索画面で指定できるのは次の項目です。

許可番号を知らなくても、社名の一部を入れれば引けるのがポイントです。逆に、名刺の番号を入れて何も出てこないなら、その番号が失効しているか、そもそも実在しないかのどちらかということになります。会社名で引いても出てこないときは、会社名で検索しても出てこない理由と対処法で挙げた表記ゆれ(旧社名・全角半角・「株式会社」の位置)を疑ってください。

番号の有無より、そこで見える「中身」のほうが価値がある

この記事でいちばんお伝えしたいのがここです。人材サービス総合サイトは「許可の有無を見る場所」だと思われがちですが、実際にはもっと踏み込んだ数字が載っています。

職業紹介事業の詳細ページには、事業所の基本情報のほかに、取扱職種、取扱地域、手数料返戻金制度、そして就職者数と、無期雇用の就職者のうち就職後6か月以内に離職した人数まで並んでいます。エージェント経由の転職を考えているなら、この「6か月以内の離職」は相当に重い情報です。紹介先とのミスマッチが多い事業所ほど、ここに数字が出てくることになります。

労働者派遣事業のほうは、派遣元事業主に情報提供の義務があります。労働者派遣法第23条第5項で、事業所ごとに次の項目を関係者に提供しなければならないと決まっています。

ただし注意点がひとつあります。この情報提供は「インターネットの利用その他の適切な方法」で行うことになっていて、業務取扱要領では「自社のホームページのみならず、人材サービス総合サイトを積極的に活用することが望ましい」という書き方です。つまり総合サイトへの掲載は義務ではなく推奨。サイトにマージン率が出ていない=違反、ではありません。その場合は会社の公式サイトを探しにいくのが筋です。ここは他の解説記事で雑に扱われがちなところなので、はっきり書いておきます。

数字で見る「業界の実像」— 半分以上の紹介事業所は就職実績ゼロ

公的統計を当たると、この業界の輪郭がわりとはっきり見えます。

厚生労働省が2026年3月31日に発表した令和6年度 職業紹介事業報告書の集計結果(速報)によると、事業報告を提出した有料職業紹介事業所は30,561事業所。ところが、そのうち就職実績があったのは13,946事業所でした。許可を持っていて報告も出しているのに、その年に1件も就職を決めていない事業所が半分以上あるということです。「許可がある=機能している」ではない、という何よりの証拠だと思います。

手数料の水準も出ています。同じ速報で、有料職業紹介事業の手数料収入は約9,835億円常用就職1件あたりの手数料は約103万円(対前年度比10.9%増)。採用側から見れば「1人採るのに100万円級」が業界平均だという公式の数字です。

派遣のほうは、厚生労働省の派遣元事業所数の推移で、令和7年度の派遣元事業所数は44,770所。ここ数年は4万4千〜4万5千所あたりで横ばいです。

しょくばログのDBで見た「社名では絶対に分からない」

冒頭に書いた話を、もう少し細かく。うちのDBで活動中の法人4,988,967社を社名で数えると、こうなりました(2026年8月26日集計)。

派遣元事業所が44,770所ある一方で、社名に「派遣」と入っている法人は全国で87社。しかもその87社の法人種別を見ると、株式会社44社・その他の設立登記法人24社・有限会社13社・合同会社4社など。「その他の設立登記法人」にはNPO法人や一般社団法人が入ります。実際に中身を見ると、手話通訳者の派遣を行う協会や、海外へ青年を派遣する団体など、労働者派遣事業とは無関係に「派遣」の語を使っている団体が相当数混じっていました。

つまり、社名に「派遣」が入っていても派遣会社とは限らないし、派遣会社の大半は社名に「派遣」を入れていない。社名は判定材料にならないというのが、DBを持っている側から見た結論です。

ちなみに人材系ワードを含む21,325社のうち東京都が6,268社(29.4%)。全国の活動中法人に占める東京都の割合は23.0%なので、人材ビジネスはやや東京に寄っている、という程度の傾向は読めます。

社名で当たりを付けるのではなく、法人番号から会社を特定してから、人材サービス総合サイトで許可を引く。この順番が事故が少ないです。

無許可だったら何が起きるか(求職者側・受入企業側)

「許可がなくても実害はないのでは」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。

事業者側の罰則は、無許可で労働者派遣事業を行った場合、労働者派遣法第59条第1項第2号により1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金。無許可で有料職業紹介事業を行った場合も、職業安定法第64条第1号で1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金と、同じ水準です。

さらに、無許可派遣を行っている事業主は、厚生労働省と都道府県労働局のホームページで社名・所在地・事業所名・主に従事した業務まで公表されます(無許可で労働者派遣事業を行った事業者労働者派遣事業に係る行政処分)。取引前・応募前にこの2つのPDFに社名がないかを見るのは、5分でできる確認です。

そして見落とされがちなのが受入企業側のリスク。労働者派遣法には労働契約申込みみなし制度(法第40条の6)があり、無許可の事業主から派遣労働者を受け入れた場合、善意無過失であった場合を除いて、受け入れた側がその派遣労働者に労働契約を申し込んだものとみなされます。つまり「知らずに使っていた」では済まず、直接雇用の申込みをしたことにされてしまう。派遣を使う側の会社にとって、許可番号の確認は形式的な作業ではなく、自社の雇用リスクの話です。

求人そのものが怪しいと感じたときの見分け方は求人票が「架空」だと見分ける方法に、会社そのものの実在確認は会社が実在するか・倒産していないか確認する方法にまとめてあります。あわせて、業種別の許認可の調べ方も参考にどうぞ。

よくある質問

名刺に許可番号が書いてありません。違法ですか?

名刺への記載自体が義務なわけではないので、それだけでは違法とは言えません。ただし労働者派遣契約の書面には許可番号を明示することが求められています。判断材料は名刺ではなく、人材サービス総合サイトで社名を引いて出てくるかどうかです。出てこなければ、その時点で問い合わせるべき状態です。

「般13-」と書いてある古い書類を見つけました。無効ですか?

無効とは限りません。2015年(平成27年)9月30日の法改正で「般」の表記が「派」に切り替わりましたが、番号そのものは変更されていないと業務取扱要領に明記されています。つまり「般13-○○○○○○」の会社は「派13-○○○○○○」で引ける可能性が高いです。ただし、その後に廃業・許可取消しになっている可能性はあるので、現況は必ずサイトで確認してください。

派遣と人材紹介、両方の許可を持っている会社もありますか?

あります。法律が別なので許可も別々に取る必要があり、その場合は「派○○-○○○○○○」と「○○-ユ-○○○○○○」の2つを持つことになります。紹介予定派遣(派遣期間の後に直接雇用へ移ることを予定した派遣)を扱う会社は、性質上どちらも必要になります。

マージン率が公表されていない派遣会社は避けるべきですか?

「人材サービス総合サイトに出ていない」だけなら、まず自社サイトを探してください。法律が求めているのは情報提供そのもので、総合サイトへの掲載は「望ましい」という推奨にとどまるためです。自社サイトにも見当たらず、聞いても答えが返ってこない場合は、労働者派遣法第23条第5項の義務を果たしていない可能性があるので、そこで初めて警戒すべき、という順番になります。

許可番号の都道府県は、その会社がある場所と一致しますか?

許可番号の都道府県番号は、事業主の主たる事務所を管轄する労働局のものです。したがって本社所在地とは一致しますが、あなたが応募しようとしている支店の所在地とは限りません。「派13-」だから東京の会社、という読み方は本社の話です。支店単位の情報は、事業所名称で検索するか、事業所枝番号のほうを見ることになります。

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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