✍ 古家あきら | 2026-08-25 更新
会社の許認可を調べる方法 — 建設業・宅建・古物商・運送、業種別の検索先まとめ
「この会社、ちゃんと許可を持っているのか確認したい」——取引前でも、応募前でも、この確認は必要です。ただ、やってみると意外と手こずります。
先に結論から。日本には「全業種の許認可をまとめて検索できる窓口」が存在しません。建設業は国土交通省、古物商は各都道府県の公安委員会、飲食店は各自治体の保健所、金融は金融庁——というふうに、許可を出している役所ごとに検索先がバラバラに分かれています。だから「許認可 調べ方」で検索しても、あなたが知りたい業種の答えにたどり着けない。この記事は、その分かれ道を1ページにまとめたものです。
しょくばログという会社データベースを運営していると、この「探しにくさ」を毎日実感します。うちは31都府県が公開している建設業許可のオープンデータを取り込んでいるのですが、都道府県ごとにファイル形式も項目名も違う。国が一括で持っているわけではなく、実質47個のデータセットを個別に集めるしかない世界です。運営側でこれなので、一般の方が困るのは当然だと思っています。
業種別・許認可の確認先まとめ
まず「自分が知りたい業種はどこを見ればいいか」から。よく調べられるものを挙げます。
- 建設業/宅地建物取引業 … 国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」。建設業者・宅建業者のほか、マンション管理業者・賃貸住宅管理業者・住宅宿泊事業者・不動産鑑定業者・測量業者・建設コンサルタントなど計12業種を検索できます
- 労働者派遣事業/有料職業紹介事業 … 厚生労働省「人材サービス総合サイト」。許可番号だけでなく、紹介手数料や就職者数まで公表されています
- 古物商 … 各都道府県の公安委員会サイト(例:東京都公安委員会の古物商URL届出一覧)。ただし後述する大きな落とし穴があります
- 産業廃棄物処理業 … 産廃情報ネット(さんぱいくん)。環境省サイトでの運用は2022年6月に終了し、産業廃棄物処理事業振興財団のサイトへ移りました
- 介護サービス事業所 … 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」。事業所単位で職員体制や利用料まで見られます
- 金融商品取引業・貸金業・保険など … 金融庁「免許・許可・登録等を受けている事業者一覧」。2026年1月から業種横断の「金融事業者一括検索機能」も使えるようになりました
- 旅行業 … 第1種は観光庁、第2種・第3種・地域限定・代理業は各都道府県が名簿を公表しています(観光庁の旅行業登録の確認ページが入口)
- 一般貨物自動車運送事業 … 全国横断の検索システムはなく、各地方運輸局が事業者一覧・新規許可事業者一覧を個別に公表しています
- 飲食店営業許可 … 全国の一元検索はありません。営業許可情報をオープンデータとして公開している自治体(徳島県など)と、していない自治体があります
そして、業種が分からない・とりあえず横断で当たりたいときの第一手が、経済産業省のgBizINFOです。国税庁の法人番号データに各省庁の届出・認定情報をひもづけたもので、会社名か法人番号で引くと「その会社にどんな届出・認定があるか」が一覧で出てきます。しょくばログのデータでは、gBizINFO由来の届出・認定情報がひもづいている法人は78,897社。全国の活動中法人が約499万社ですから、カバー率は決して高くありません。「gBizINFOに出てこない=許認可がない」ではない点は強調しておきます。
会社名で検索しても該当の会社が見つからないときは、会社名で検索しても出てこない理由と対処法もあわせてどうぞ。
許可番号の読み方 — 建設業と宅建業
許可番号は、桁を数えるより「区切りの意味」を覚えたほうが早いです。
建設業許可番号
`東京都知事許可(般-6)第○○○○○号` のような形をしています。
- 「知事許可」か「大臣許可」か … 営業所が1つの都道府県に収まっていれば知事許可、2つ以上の都道府県にまたがると国土交通大臣許可。大臣許可のほうが偉い、という意味ではありません。営業所の配置の話です
- 「般」か「特」か … 一般建設業か特定建設業か。特定建設業は、元請として一定額以上を下請に出す場合に必要になるもので、財産的基礎などの要件がより厳しく設定されています
- カッコ内の数字 … 許可を取得(または更新)した年度。「般-6」なら令和6年度。許可の有効期間は5年で、更新するとこの数字が新しい年度に入れ替わります
- 末尾の業者番号 … 1事業者に1つの固有番号。5年ごとの更新や代表者の変更では変わりません
つまり、カッコの数字が古いほど「そろそろ更新時期」という読み方ができます。カッコが「6」なら令和6年度取得なので令和11年度まで、というふうに逆算できるわけです。
宅建業免許番号
`東京都知事(5)第○○○○号` のような形です。ここで面白いのがカッコ内の数字が「更新回数」だという点。免許の有効期間は5年なので、(1)は5年未満、(2)は5年以上10年未満、(3)は10年以上15年未満……と、数字から営業年数の目安が読めます。
ただし落とし穴があります。知事免許から大臣免許に免許換えをすると、カッコの数字は(1)に戻ります。個人事業から法人化した場合も新たに免許を取り直すので、やはり(1)です。つまり「(1)だから新しい会社」とは限らない。ここは会社の設立年と突き合わせて確認すべきところで、会社の設立年から見る老舗と新興の見分け方の考え方が使えます。
しょくばログの建設業許可データを集計してみた
うちは31都府県が公開している建設業許可のオープンデータを法人番号で名寄せして保有しています。件数の多い順に、東京36,844社・大阪30,248社・神奈川25,420社・愛知22,409社・兵庫14,014社。全体では238,052法人が建設業許可を持っているものとして収録されています(都道府県が公開しているデータの範囲なので、全国全件ではありません)。
このデータを、うちが持っている業種分類(日本標準産業分類の大分類)と突き合わせると、面白い結果になりました。業種分類が判明している104,321社の内訳です。
- 建設業(大分類D) … 64,003社(61.4%)
- 製造業(大分類E) … 25,751社(24.7%)
- 卸売業・小売業(大分類I) … 5,367社(5.1%)
- 情報通信業(大分類G) … 3,265社(3.1%)
- 不動産業・物品賃貸業(大分類K) … 2,793社(2.7%)
建設業許可を持つ会社のうち、業種分類上「建設業」なのは6割程度。残りの4割は製造業や卸売業として分類されています。金属製品メーカーが鋼構造物工事業の許可を、通信会社が電気通信工事業の許可を持つ——といったケースです。
ここから言えることは1つ。「業種で絞り込んで許認可を探す」というやり方は取りこぼす、ということです。会社の業種が何であれ、許可を持っているかどうかは許可の名簿で直接引くしかありません。業種分類そのものの見方は会社の業種を調べる方法にまとめています。
許可業種の内訳(延べ件数・1社が複数業種を持つため合計は社数と一致しません)は、土木一式工事業54,303/建築一式工事業37,275/電気工事業21,539/とび・土工工事業18,000/管工事業14,824/内装仕上工事業9,145。土木と建築の一式工事が多数を占め、そこに専門工事がぶら下がる構造がそのまま数字に出ています。
調べるときによくある勘違い
「公安委員会のサイトに載っていない=古物商許可がない」ではありません。 これは最も多い誤解です。各都道府県公安委員会が公開している古物商一覧は、インターネットで取引するためにURLの届出をした業者だけが掲載されるものです。実店舗だけで営業している古物商は、正規の許可を持っていても載りません。逆に、載っている業者はURL届出まで済ませている=そこは確認できた、と読むのが正しい使い方です。
許可があること自体は、経営の健全性を保証しません。 許可は要件を満たしたときに下りるもので、その後の資金繰りまでは見ていません。取引の与信判断としては、許可の有無は「入口の足切り」でしかない。実際の判断は取引先の信用を調べる3つの層で書いた組み立て方をおすすめします。
検索システムの反映にはタイムラグがあります。 国土交通省の検索システムも、新規許可や変更の反映まで概ね1か月程度かかると案内されています。「取ったばかりで載っていない」は普通に起こります。
許可が不要な仕事もあります。 建設業でいえば、請負金額が一定額未満の軽微な工事は許可がなくてもできます。「許可を持っていないから怪しい会社だ」と短絡すると、正当に営業している小規模事業者を弾いてしまいます。
よくある質問
全業種の許認可をまとめて検索できるサイトはありますか?
ありません。もっとも横断的なのが経済産業省のgBizINFOですが、収録されているのは各省庁が提供した届出・認定情報に限られます。うちのデータでも、届出・認定情報がひもづいている法人は約7.9万社にとどまります。業種が分かっているなら、その業種の管轄官庁の名簿を直接見るのが確実です。
許可番号だけを渡されて、会社名が分かりません。逆引きできますか?
建設業と宅建業は可能です。国土交通省の検索システムは許可番号からの検索に対応しています。一方、古物商や飲食店営業許可のように名簿が全国一元化されていないものは、許可を出した自治体が分からないと逆引きが難しくなります。名刺やサイトの表記から「◯◯県公安委員会」などの管轄を読み取るのが先です。
会社の公式サイトに書いてある許可番号は信用していいですか?
必ず名簿と照合してください。表記だけなら誰でも書けます。とくに求人まわりでは、許可を持たない業者が派遣や職業紹介まがいのことをしている例が問題になります。人材サービス総合サイトで許可番号と会社名が一致するかを確認するのが確実です。求人自体の見分け方は架空求人の見分け方に整理しました。
許可の有効期限が切れていないか確認するには?
建設業許可なら番号のカッコ内の年度に5年を足せば目安が分かりますが、更新手続き中というケースもあるので、確実なのは検索システムで許可年月日・有効期間を直接見ることです。国土交通省のシステムは許可日と有効期間を表示します。
許認可の情報から、その会社の事業内容は分かりますか?
ある程度は分かります。建設業なら許可業種(土木一式なのか内装仕上なのか)で、実際にやっている工事の領域が見えます。ただし許可を持っている=今その仕事をしている、ではありません。取得だけして使っていない許可も珍しくないので、事業内容は別ルートで確認してください。方法は会社の事業内容を調べる方法にまとめています。
許認可の確認は、有料の信用調査でやってもらえますか?
信用調査会社の報告書には許認可の記載があるのが一般的です。ただし公的な名簿で無料で確認できる範囲も広いので、まず無料で当たってから、足りない部分だけ有料に回すのが現実的です。費用感は信用調査の費用相場を参考にしてください。
まとめ
許認可の確認でつまずく原因は、調べ方が難しいからではなく、入口が業種ごとに散らばっているからです。建設業・宅建業なら国土交通省の検索システム、派遣・人材紹介なら人材サービス総合サイト、介護なら介護サービス情報公表システム、金融なら金融庁——ここまで分かれば、あとは会社名を入れるだけで終わります。
そして番号は読めます。建設業許可のカッコは取得年度、宅建業免許のカッコは更新回数。数字ひとつで「いつから」が見えるのは、ほかの会社情報にはあまりない性質です。ただし免許換えでリセットされるなど例外もあるので、会社が実在するか・倒産していないかの確認や法人番号からの確認と組み合わせて見てください。
しょくばログでは、会社名か法人番号で検索すると1社1ページで所在地・業種・代表者・求人履歴をまとめて確認できます。許可名簿で見つけた会社の全体像を掴みたいときは会社検索からどうぞ。
※本記事のうち件数・内訳はしょくばログ収録データ(国税庁 法人番号公表サイト、および31都府県が公開する建設業許可オープンデータ、2026年8月時点)の集計です。都道府県が公開している範囲に限られるため、全国の許可業者を網羅したものではありません。制度・番号の表記についてはリンク先の各官公庁サイトで最新の情報をご確認ください。