✍ 古家あきら | 2026-08-24 更新

法人の種類一覧 — 株式会社・有限会社・合同会社、名前だけで分かること

法人の種類の違いを表すイメージ。高層オフィスビル・町工場・蔵づくりの店・小さな事務所・古い洋館が横に並び、それぞれの入口に無地のプレートが掛かっているフラットイラスト

「合同会社って、株式会社より格下なんですか?」——たまにこう聞かれます。答えはノー。会社法上、株式会社も合同会社も対等な「会社」です。

先に結論から。日本の法律で「会社」と呼べるのは、株式会社・合名会社・合資会社・合同会社の4種類だけ(会社法第2条第1号)。ここに「有限会社」は入っていません。にもかかわらず、しょくばログに収録されている活動中の法人499万社のうち、有限会社は142万社あります。この矛盾がどこから来るのかを含めて、名前から読めることを整理します。

しょくばログという会社データベースを運営していると、種類の取り違えによる問い合わせを毎月受けます。「有限会社なのに登記簿では株式会社と書いてある」——仕組みを知れば一発で解ける話です。

会社法上、「会社」は4種類しかない

会社法第2条第1号は、会社を株式会社・合名会社・合資会社・合同会社と定義しています。このうち後ろの3つはまとめて「持分会社」と呼ばれます。

違いの軸は、出資者が会社の借金にどこまで責任を負うかです。

「社員」は従業員ではなく出資者を指します。合同会社の「代表社員」が社長にあたるのは、このためです。

しょくばログの499万社を種類別に数えてみた

うちのデータベースは国税庁の法人番号公表サイトが公表している全法人を取り込んでいます。登記が現存している法人(=閉鎖されていない)4,988,967件を種類別に数えると、こうなりました(2026年8月時点)。

目を引くのは有限会社が全体の3割弱を占めていることと、合名会社・合資会社を足しても7万社台しかないことです。持分会社はもう実質的に「合同会社のこと」になっている、というのが数字から見える現実です。

注意点をひとつ。これは「登記が残っている法人の数」であって、「今も営業している会社の数」ではありません。法人番号公表サイトは登記の有無しか分からず、休眠状態の会社も同じように載ります。この限界については会社が実在するか・倒産していないか確認する方法幽霊会社の見分け方で詳しく書きました。

有限会社が142万社も残っている理由

会社法は2006年5月1日に施行され、同時に有限会社法が廃止されました。この日以降、有限会社を新しく作ることはできません

では既存の有限会社はどうなったか。会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(整備法)によって、「特例有限会社」という扱いの株式会社として、そのまま存続することになりました。名前は「有限会社◯◯」のまま、法律上の分類は株式会社。株式会社へ商号変更することもできますが、義務ではありません。「有限会社なのに登記簿には株式会社と書いてある」という問い合わせの正体はこれです。誤記ではありません。

実務的には、有限会社は少なくとも2006年より前から登記が続いている会社だと分かります。社歴の下限が名前だけで確定するのは地味に便利です。合わせて会社の設立年を調べる方法もどうぞ。

名前から読めること・読めないこと

読めること

読めないこと

よくある勘違い:種類で信用度は決まらない

「合同会社は信用されない」という話をよく聞きますが、登記の種類だけを理由に取引を断る合理的な根拠はありません。合同会社は設立費用が安く決算公告の義務もないため、小さく始める事業者や外資系日本法人の受け皿として選ばれています。

見るべきなのは種類ではなく、所在地の実在・登記の継続・事業の実態・取引条件です。判断軸は取引先の信用を調べる方法にまとめてあります。

会社ではない法人の見分け方

「その他の設立登記法人」51万件の中身は多種多様です。名前の頭で数えると、一般社団法人が約8.5万件、医療法人が約6万件、特定非営利活動法人(NPO法人)が約4.9万件、社会福祉法人が約2.1万件。宗教法人のように名前に法人格が付かない登記も多いので、これはあくまで名称の先頭で数えた概数です。

共通しているのは、どれも会社法ではなく個別の法律に基づく法人だということ。非営利の法人が多いですが、「非営利=儲けてはいけない」ではありません。利益を出資者に分配しない、という意味です。

そしてこれらの法人にも法人番号が振られています。13桁の法人番号は会社かどうかに関係なく指定されるので、法人番号での照会は種類を問わず使えます。詳しくは法人番号とは会社名から法人番号を調べる方法へ。

しょくばログを運営して分かったこと

データベースを作っていていちばん厄介なのが、「株式会社」の位置が前か後ろかで名寄せが壊れることです。「株式会社サンプル」と「サンプル株式会社」は別の会社ですし、同じ会社を人によって両方の書き方で検索してきます。

そして有限会社142万社という数字を毎日見ていると、日本の会社データは「今」ではなく「これまでの積み重ね」を映していると実感します。登記は消さない限り残り続けるので、数え方を間違えると実態から離れた数字が出てしまう。うちが「活動中」と「閉鎖済み」を分けて持っているのは、そのためです。

よくある質問

合同会社と株式会社、どちらで取引しても法的な違いはありますか?

取引先としての契約上の扱いに違いはありません。どちらも法人格を持ち、契約の当事者になれます。違いは内部の意思決定や出資者の責任範囲で、外から取引する側に直接影響する場面は限られます。

有限会社は今から作れますか?

作れません。2006年5月1日の会社法施行で有限会社法が廃止されたためです。既存の有限会社が「特例有限会社」として残っているだけです。新しく「有限会社◯◯」という商号で登記することもできません。

有限会社が株式会社に変わったら法人番号も変わりますか?

変わりません。法人番号は指定されたあと、商号や所在地が変わっても同じ番号のままです。国税庁の法人番号公表サイトでは名称・所在地の変更履歴も公表されているので、旧商号からたどることもできます。

一般社団法人と公益社団法人は何が違いますか?

一般社団法人は登記だけで設立できます。公益社団法人は、一般社団法人が公益認定を受けたものです。認定にあたって公益目的事業の比率などの基準を満たす必要があり、税制上の優遇もあります。うちのデータでは一般社団法人が約8.5万件に対し、公益社団法人は約4千件と、桁がひとつ違います。

「合名会社」の社長が無限責任というのは、本当に個人資産まで取られるのですか?

制度としてはそのとおりで、会社の債務について無限責任社員が責任を負います。だからこそ現在ではほとんど選ばれず、全国で1.2万社台まで減っています。実務で相手が合名会社・合資会社だった場合は、規模が小さい老舗である可能性が高いので、老舗と新興の見分け方の観点も合わせて見てください。

まとめ

法人の種類は、名前を見れば必ず分かるようになっています。会社法上の会社は株式会社・合名会社・合資会社・合同会社の4種類で、有限会社は2006年以降新しく作れない「特例有限会社」。一般社団法人やNPO法人は会社ではなく、別の法律に基づく法人です。

ただし、名前から読めるのは種類と、有限会社なら社歴の下限だけ。規模も信用度も設立年も、名前には書いてありません。そこはデータで確認するしかない領域です。

しょくばログでは、会社名か法人番号で検索すると1社1ページで種類・所在地・業種をまとめて確認できます。気になる会社があれば会社検索から調べてみてください。

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※本記事の件数はしょくばログ収録データ(国税庁 法人番号公表サイト由来、2026年8月時点・登記が閉鎖されていない法人)の集計です。制度の説明は会社法および会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律に基づいています。個別の判断は必ず一次情報でご確認ください。

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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