✍ 古家あきら | 2026-08-03 更新
取引先が個人事業主か法人かを見分ける方法 — インボイス番号Tの後ろ13桁で一発
「請求書に『T1234...』と書いてあるけど、この取引先は法人?それとも個人事業主?」——経理担当や与信管理をやっていると、けっこう頻繁に遭遇する疑問です。
先に結論から。インボイス番号「T」の後ろ13桁が数字=法人(法人番号と一致)/数字だけどランダムな13桁=個人事業主。 これだけで99%は見分けられます。番号が無い場合は、屋号・銀行口座名・登記の有無で判定します。
しょくばログという会社データベースを運営していると、この「法人か個人か」の判定は毎日ぶつかる問題です。今日はうちのDBでも使っている見分け方をそのまま書きます。
前提:インボイス制度で番号が付いた
2023年10月から、消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)が始まりました。適格請求書を発行できる事業者には「T」+13桁の登録番号が国税庁から付与されます。
このTの後ろ13桁が、実は法人と個人事業主を見分けるカギです。
見分け方①:法人はT+法人番号(13桁)
法人(株式会社・合同会社・一般社団法人など、法務局に登記されている団体)は、インボイス番号のTの後ろ13桁が「法人番号」と完全に一致します。
- 例:株式会社トヨタ自動車の法人番号「1180301018771」
- そのインボイス番号は「T1180301018771」
つまり、Tを取れば法人番号として使えます。しょくばログや国税庁の法人番号公表サイトで、Tの後ろ13桁を入れて検索してヒットすれば法人、と判定できます。
法人番号そのものの解説は法人番号とは、会社名からの逆引きは会社名から法人番号を調べる方法を参照。
見分け方②:個人事業主はランダムな13桁
個人事業主(法人化していない事業者)は、法人番号を持ちません。インボイス制度に登録すると、国税庁から個人向けのランダムな13桁が付与されます。
- 法人番号として検索してもヒットしない
- 頭文字にTがついていて桁数も同じなので、パッと見は区別できない
- 一部は「9」など特定の数字から始まる傾向があるが、これは公式ルールではないので判定には使わない
つまり実務上は、「Tの後ろ13桁を法人番号として検索してヒットしなければ個人事業主」と判定できます。しょくばログの検索窓に13桁を入れて「該当なし」ならほぼ個人事業主です。
見分け方③:インボイスの公式サイトで裏取り
もう一つ確実なのが、国税庁の「インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト」(https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/)でTの後ろ13桁を検索する方法。
- 法人の場合:「登録番号」「本店所在地」「商号(会社名)」が出る
- 個人事業主の場合:「登録番号」と「氏名」が出る(住所は本人希望による)
「氏名」が出たら個人事業主、「商号」が出たら法人、これで一発です。
インボイスの詳しい仕組みはインボイス登録番号を会社名から逆引きする方法にまとめました。
インボイス番号が無い場合の見分け方
免税事業者はインボイスに登録していないこともあります(登録は任意)。番号が無い場合の判定は次の順で。
①請求書の屋号・肩書
- 「株式会社」「合同会社」「有限会社」「一般社団法人」等の法人格が付いている=法人
- 「〇〇商店」「〇〇事務所」「〇〇デザイン」など屋号だけ=個人事業主の可能性が高い(ただし個人経営の店舗が法人化しているケースもある)
- 屋号無しで代表者の氏名のみ=ほぼ個人事業主
②振込先の銀行口座名
- 法人名義(例:カ)〇〇 or 〇〇(カ:カブシキガイシャ表記)=法人
- 個人名義(例:山田太郎)=ほぼ個人事業主
- 屋号付き個人口座(例:ヤマダデザイン ヤマダタロウ)=個人事業主
これはかなり信頼できる指標です。銀行は口座開設時に登記の有無を確認するので、法人名義の口座を持てるのは登記された法人だけ。
③国税庁の法人番号公表サイトで屋号を検索
法人なら屋号(商号)から検索すればヒットします。ヒットしなければ個人事業主。
「見分けないといけない場面」の実務
なぜ見分ける必要があるのか、代表的な場面を整理しておきます。
- 源泉徴収:個人事業主に報酬を支払う場合、源泉徴収が必要(原稿料・デザイン料・講演料など)。法人には基本不要
- 消費税の仕入税額控除:インボイス番号があれば、法人・個人事業主とも税額控除可(免税事業者からの仕入は控除不可)
- 契約書:法人と個人事業主で契約書の記載事項が変わる(法人は代表者名、個人事業主は氏名)
- 与信管理:個人事業主は個人と一体で判断(信用調査の切り口が変わる)
- 請求書の宛名:御中/様の使い分け(法人=御中、個人=様)
見分けを間違えると税務・法務でトラブルになりやすい領域です。
しょくばログを運営して分かった、いちばん正直な話
うちは全国 4,988,967社(法人だけ)を扱っています。個人事業主はDBに入っていません——法人番号を持たないので、うちのシステムでは扱えないからです。
同じ理由で、gBizINFOも国税庁の法人番号公表サイトも、個人事業主のデータは持っていない(インボイス公表サイトを除く)のが実情です。日本の事業者情報は「法人」と「個人事業主」で管理体系が根本的に違うので、両方を横断で検索できるサービスは実は稀です。
だから「取引先の情報が全然出てこない」場合、それが個人事業主だから公的データが少ないという可能性は、まず疑ってみてください。「怪しい会社」ではなく「そもそも法人ではない」だけ、というオチが多いです。
よくある質問
インボイス番号が「T0000...」で始まっているのですが、これは何ですか?
Tの後ろが全部0で始まるということは通常無いです。もし「T1234567890000」のように末尾が0続きなら、桁数を数え間違えている可能性があります。Tの後ろは必ず13桁、これより短い/長い場合は転記ミスの可能性が高いです。
個人事業主でもインボイス番号を取れるんですか?
はい、任意で登録できます。免税事業者(売上1,000万円以下)は登録しなくても事業できますが、取引先がインボイスを要求する場合は登録することが多いです。登録すると自動的に課税事業者になるので、消費税の申告義務が発生します。
個人事業主が屋号で法人番号を持てるようになる制度はありますか?
現時点ではありません。個人事業主が法人番号を持つには、法人化(会社設立)が必要です。屋号のまま法人番号を取得することはできません。
インボイス公表サイトで検索しても出てこない場合は?
考えられるのは①相手がインボイス未登録(免税事業者のまま)②登録番号の転記ミス③登録直後でまだ反映されていない、のいずれか。未登録の免税事業者からの仕入は仕入税額控除ができないので、経理側は経過措置の適用可否を確認してください。
一人法人(マイクロ法人)はどっち扱いですか?
法人扱いです。従業員が1人(代表者本人のみ)でも、株式会社や合同会社として登記されていれば法人番号があり、法人名義の口座も持てます。マイクロ法人と個人事業主の見分けは、この番号の有無と口座名義で判定できます。
まとめ
インボイス番号があれば、「T + 後ろ13桁を法人番号として検索」→ ヒットすれば法人、しなければ個人事業主。これで99%は見分けられます。国税庁のインボイス公表サイトでも「商号」なら法人、「氏名」なら個人事業主と一発判定。
番号が無い場合は、屋号(法人格の有無)+銀行口座名義(法人名義か個人名義か)で判定。この2点で実務上は足ります。
個人事業主は公的データが薄いのが日本の現実(うちのDBにも入っていません)。取引先の情報が乏しいときは、そもそも法人ではないことを疑ってから調べに行くと、無駄足を減らせます。
関連する記事:インボイス登録番号を会社名から逆引きする方法、法人番号とは、会社が実在するか確認する方法、取引先の与信を調べる方法、法人の種類一覧(株式会社・有限会社・合同会社の違い)。
※本記事は一般的な情報です。税務・法務の個別判断は、税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。